フランス人作家マルク・レヴィ氏に対し、宇宙の起源や人間の信念について、翻訳者を介することなく流暢なフランス語で堂々と質問をする一人の宅配サービスの配達スタッフ。配達スタッフの制服と、外国語でなされる学識高いコミュニケーションのギャップが、その動画を見た何十万もの人々の心を掴んでいる。
制服の男性は、ホーチミン市教育大学でフランス語と地理学の二重学位取得を目指すフイン・フウ・フォックさん、25歳。フォックさんは今月8日、5区のチャンニャントン通りで偶然見かけたマルク・レヴィ氏のフランス語で書かれた著書を2冊購入。翌日午後、1区のグエンヴァンビン通りで同氏のイベントがあることを知り参加。イベント参加後は、自身の動画がソーシャルメディアで拡散されているなど思いもよらないまま、夜遅くまで商品の配達を続けていたという。
家族が事故に遭い、自力で生活費と学費を稼がなければならなかったと話すフォックさん。大学に通いながらフレキシブルに働けるという理由でデリバリーの仕事を続けたが、大学3年の時、経済的理由からついに休学をやむなくされた。現在はデリバリー以外にも、本の翻訳や執筆も行い生計を立てている。他にも中国語、英語、日本語も読めるという彼のことを、ネチズンは「4か国語使える配達員」と呼んでいる。現在はまだ生活するだけで精一杯というフォックさんだが、近い将来また大学に戻って修士課程を修了し、翻訳家として活躍するのに十分な知識を得たいと考えているそうだ。

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