取材協力:Jリーグ/取材日:2021年8月
私たちは挑戦者です。対戦国の力量を比較する余裕はありません
インタビュー第3弾は、『ベトナムのピルロ』の愛称で知られるベトナム代表MFのグエン・トゥアン・アイン選手。2016年21歳の時に横浜FCで経験を積む。初の海外挑戦となった日本のサッカーから学んだこと、ベトナムサッカーとの相違点。さらにW杯最終予選に向けてのコンディションや強豪国が集まるグループBでの戦い方についてお伺いしました。

元・横浜FC(2016年)
キャッチ:ベトナム代表の才能あるMF、チームの核となる中心的選手
キャリア:1995年5月16日生 タイビン省クインフー出身。12歳でアーセナルJMGアカデミーに入団し、サッカーの英才教育を受ける(本紙インタビュー2人目、グエン・コン・フオン氏も同様)現在のベトナム代表MF。2015年にホアン・アイン・ザライFCでプロデビュー、現在も同クラブに所属。2016年にJ2の横浜FCで1年間の期限付きで所属した。[/su_column] [/su_row]
日本のサッカーに適応できるまでに6ヶ月かかりました
週刊ベッター 編集部(以下●編)2016年、初めての海外移籍となった横浜FC時代の思い出をお聞かせください。 Nguyen Tuan Anh(グエン・トゥアン・アイン・以下●ア)ベトナムとはタイプが異なるサッカー選手たちと触れ合い、環境が整ったクラブで練習できたことが何よりの思い出です。横浜での経験がその後の私のサッカー人生に大きな影響を与えました。 編2016年の天皇杯三回戦の横浜FC対長野パルセイロとの対戦で、2対2の延長戦からあなたのヘディングゴールでチームが3対2で勝利しました。決勝ゴールを決めた時はどんな気持ちでしたか? アチーム全体が勝利を確信していました。勝ちたい一心でゲームに集中していたので、正直あまり覚えていません。 編横浜FCでプレーしてみて日本とベトナムサッカーにどんな違いがあると感じましたか? ア日本と比較するとベトナムサッカーがまだ発展途上の段階であるのは否めません。日本のサッカークラブの環境は非常に発達していて、質、量ともに高レベルのトレーニングが可能で、選手のテクニックが向上する条件が揃っています。環境整備が遅れているベトナムは、サッカー先進国から多くの専門知識を学び、日本のような充実した環境を目指さなければならないと思います。 編サッカー以外では日本にどんな印象を持たれましたか? またどんな影響を受けましたか? ア一般的に日本人は規律ある働き方で知られていますが、サッカー選手も同様にトレーニングへの取り組み方に勤勉性が表れていると思いました。個人的にそんな日本人の真摯な態度が大好きで、技術の向上に不可欠なプロ意識を彼らから学びました。 編日本に住んでいるときに、苦労や困ったことはありましたか? ア当時の私はまだ若く、21歳だったため、プロサッカー選手として新しい環境に戸惑いを覚えました。練習スタイルや練習量、チームメイトやスタッフとのコミュニケーションなど、生活環境も含め、ベトナムとの違いに慣れるまで苦労しました。 編環境の変化からプレッシャーを感じましたか? また日本の環境に適応できるまでにどれくらいの日数がかかりましたか? ア試合の出場機会を得るためには、練習でコーチの要望に応えなければなりません。そんな心理的なプレッシャーを抱えていました。当時は私も若かったのですが、チームメイトにも才能ある若い日本人選手が多数いました。アピールには選手同士の息の合ったプレーが不可欠ですが、お互いの思惑を合致させてプレーで表現するのは非常に難しい。なかなか上手くいかないと自信を失います。そんな期間がしばらく続いたのですが、それでもトレーニングを積むうちにだんだんチームメイトとも息が合うようになりました。、そこにたどりつくまでに約6ヶ月かかりました。 編初めての海外となる日本でのサッカー経験から何を学びましたか? ア勤勉さや専門知識など、ベトナム時代にはなかった新しい考え方を学びました。それらはプロサッカー選手としての生き方に繋がり、私のサッカースタイルの構築に影響を与えています。 編近年、ベトナムサッカーは奇跡的といってもいいほどの大きな進歩を遂げました。国際試合で活躍するベトナム代表の中心選手として、この変化をどう捉えていますか? ア個人的には国際試合の経験が、今の進歩に繋がっていると思います。サッカーは国ごとにいろんなバックグラウンドがあります。そしてチームごとに特徴や戦術が異なり、対応するには専門知識や意識のコントロールが不可欠です。それは大きな試合になるほど顕著で、私たちは国際試合の経験からそれらを学んでいるように思います。 編では国際試合の経験以外で、今後ベトナムサッカーが更なる進化を遂げるには何が必要だと思いますか? アこれは私見ですが、更なる進化に必要なのは、選手だけでなくコーチ、スタッフ、クラブ関係者など多くの人の協力です。ベトナムサッカーの発展に貢献したいと思える人を多数集めるには、時間を要するかもしれません。しかし集まりさえすればレベルアップにさほど時間はかからないと思います。あと他にも、身体づくり、体力強化、栄養バランスなどに関する環境の改善も必要だと思います。 編かつて横浜FCでプレーされたように、機会があれば再び海外リーグでプレーしたいと思いますか? アもちろんチャンスがあれば挑戦したいです。ただしチームごとにプレースタイルが異なります。提示条件とともに、自分がそのクラブに適応できるかしっかり検討したいと思います。 編世界的に有名なサッカー選手で特にお気に入りの選手はいますか? ア元フランス代表のジダン、元チェコ代表のロシツキー、元ドイツ代表のエジル、他にもたくさんいます。プレースタイルと優れたテクニックが大好きで、参考にしたいと思っています。よく彼らのプレーをビデオで見ますが、つい時間が経つのを忘れてしまいます。監督が提示する勝利に必要な戦い方に全力を尽くします
編コロナ禍でVリーグが休止に追い込まれ、リーグ戦ができない状態からW杯最終予選を迎えます。コンディション等の不安はありませんか? また万全な体調で臨めるのでしょうか? ア本番にならないとわからない部分もありますが、代表メンバーが集まって3週間のトレーニング期間があったので、現時点では致命的な不安はありません。 編トレーニングから実際の試合に至るまで、指揮官朴監督についてはどう思われていますか? ア非常に仕事熱心で情熱的な指導に彼のサッカー愛を感じます。監督がチームの勝利に必要な戦い方を提示し、その課題をクリアするために私たちは全力を尽くします。出場国:
グループA→イラン・韓国・UAE・イラク・シリア・レバノン
グループB→日本・オーストラリア・サウジアラビア・中国・オマーン・ベトナム
最終予選の結果、グループA・Bの上位2ヵ国、計4ヵ国が本大会出場。3位同士がプレーオフ→勝者が大陸間プレーオフへ→大陸間プレーオフ勝者が本大会出場となる。
日本vsベトナム戦
ベトナムvs日本 2021年11月11日(ハノイ・ミーディン国立競技場)
日本vsベトナム 2022年3月29日(日本・スタジアム未定)
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